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旬報9条の会3周年記念講演 ご報告2008-01-25

弁護士 雪竹 奈緒。

日本国憲法公布から満61年となる2007年11月3日、旬報9条の会創立3周年記念、「音楽と講演の集い」が行われました。当日来場者は167名、これまででもっとも盛況な集いとなりました。

まず歌手の佐藤真子さんによる平和を願う歌がありました。「千の風になって」「リリー・マルレーン」など、戦場に赴く兵士の悲しみや大切な人を失った人の悲しみ、平和の大切さを感じさせる曲を、ご自身のピアノ伴奏と美しい声で歌ってくださいました。

次に、ジャーナリストの堤未果さんから、「アメリカから見た憲法9条」と題して、ご自身の体験や取材を下に、アメリカの現状について、お話しいただきました。

9.11同時多発テロ当時、堤さんはニューヨーク、あの貿易センタービルのすぐ隣のビルにいました。堤さんはテロの体験を通じ、自分がどれだけ戦争を知らなかったか、いかに憲法9条に守られてきたのかを実感したと。しかし一番恐ろしかったのは、9.11後の、アメリカ社会の変わり様だといいます。9.11後、TVでタワー崩壊の映像、そして大統領の「やられる前に攻撃する」と報復を訴える映像が繰り返し流され、「星条旗の下で団結に加わらない者は敵だ」という雰囲気一色に染まっていきました。

そのようなアメリカに絶望し、いったんは永住権を捨てて日本に戻った堤さんですが、やがて雑誌取材のため再度渡米し、若い兵士の母親から、アメリカ軍の驚くべき志願兵募集の実態を聞かされました。戦争するためにアメリカ政府が行った政策は、一つは福祉切り捨て、もう一つは教育改革、「落ちこぼれゼロ法案」と称して全米の高校から生徒の個人情報を国に提出させることでした。親の年収から生活環境、生徒の携帯番号まで高校から情報提供を受け、親が失業、犯罪者、母親のみであるなど、将来の見通しが厳しい生徒をピックアップします。そして、軍のリクルーターが直接子どもに電話をかけ、「君には将来、見込みがある。大学の費用を出してあげる。就職の世話をする」などの誘い文句で、入隊の契約をさせてしまうのです。ところが、学費は一部しか援助されず、除隊して大学に入っても卒業できる学生は15%程度。軍の給与、保険料や防弾チョッキなど装備の一部を自己負担させられ、就職援助も極めて不十分です。

帰還兵はPTSDなど精神的問題を抱え、就職も出来ずに路頭に迷い、全米350万人のホームレスのうち、50万人が元軍人といわれています。

しかし、そういった帰還兵の中から、「帰還兵反戦の会」が立ち上がりました。彼らは出身高校を回って、軍のリクルーターの甘言に騙されないよう、自分の体験を語り続けています。もちろん、そのようなことをしていれば政府から目をつけられ、就職も出来ません。しかし彼らは言います。「イラクで一番つらかったことはいつ死ぬか分からないということではない、自分のやっていることに誇りが持てなかったことだ。今はホームレスでも、自分のやっていることに誇りが持てる」

テロから5年、アメリカの国民も「戦争はもう嫌だ」という声を上げ始めています。日本でも、9条の会など、平和を守る声が広まってきています。しかし、こういう問題に、若い人がなかなか関心を持ってくれないのが悩みです。堤さんは言います。若い人が関心を持っているのは、将来自分が食べていけるか、就職や生活への不安です。無理やり関心を押し付けるのではなく、彼らの関心にひきつけて、格差拡大、就職難といった問題が、やがて戦争できる社会に繋がっていくと語り続けること。あきらめずに種をまき続けることが大切だ、と。

アメリカ帰還兵や、被爆治療の援助を訴えるため来日したイラク人医師の言葉などから、いかに日本の平和憲法が貴重な素晴らしいものであるか、実感させられました。

アメリカが取った教育改革や個人情報管理、福祉の切捨てといった政策は、今まさに日本が後追いしている政策です。このまま「戦争する国」に突っ走ることのないよう、我々が、世代を超えて手を取り合い、声を上げ続けることの大切さを感じました。

(今回の講演は、講師のご意向により講演録を作成しておりません。ご了承ください)

感想文より(抜粋)

・豊富な情報と深い洞察と多くの示唆に富む、すばらしい講演でした。特に心を残ったこととしては、若い人の無関心と嘆くのではなく、種をまき続けるということ。心がけたいと思います。

・(佐藤さん)最後に「一本の鉛筆」をアカペラで、会場の皆さんに語りかけるように歌ったのは、とても良かったし、心にしみました。(堤さんが)もう1つのアメリカの姿を話して下さり、とてもありがたく思っています。そこに連帯できるアメリカ国民がいると思う。堤さん自身の成長も語られ、私自身の生き方を考えさせられます。

・若い人を信じて、種をまきつづける元気をもらいました。ありがとう。

・歌も、特に堤未果さんの講演はとてもすばらしかったです。とてもすてきな企画をありがとうございました。

・(佐藤さん)最後のアカペラと別れのブルース、よかったです。(堤さん)ずっと以前から聴きたいと思っていましたが、期待以上のものでした。すごくよかったです。あたり前に日常生活をおくれていると、9条のありがたみがわからずにいましたが…やはり、すごいなあ~と同時に平和であることの幸せを感じました。9条のこと、社会のこと、世界のこと、すべてが1つにつながっていることを改めて感じました。9条のよさ、私も地道ながらも、伝えていきたいと思います。

・堤さんの講演を聴き、消えがたい感動を覚えた。会場出入口の机上に並べられた「グラウンド・ゼロがくれた希望」を購入し、一気に読み終え、堤さんの思いと人間性とを一層深く知ることができ、真に幸いであった。妻も、私同様に感激し、決して忘れられない講演と本であると述べた。実は私たちはそれまで堤さんの名前さえ知らなかった。それが今では、彼女が豊かな感受性と広く人類を愛する知性、そして、理性的で頼もしい実行力を兼ね備えた女性であることを知り、すっかり堤さんの支持者になってしまった。それ以後、折あるごとに彼女の講演やこの本の宣伝をしたくなる。


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