刑事事件での弁護士の役割は様々です。
まず、逮捕段階で弁護人に選任された弁護士は、勾留とならないように弁護活動を行います。勾留となると最大20日間の身柄拘束になってしまいますので、仕事のある方にとっては死活問題となります。そこで、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを説明して検察官に勾留請求をしないように要請したり、勾留請求が却下されるように裁判官に意見を述べたりします。一旦勾留がなされてしまった場合にも、準抗告という手続を行い、勾留を取り消すよう求めたりします。
勾留後は、起訴か不起訴かという問題に直面しますので、弁護士は不起訴を目指して弁護活動をします。具体的には、無罪を主張する場合には無実の証拠を収集して、犯罪が立証できないことを検察官に説明します。他方、犯罪を認めている場合にも、被害者の方と示談したり、贖罪寄付をするなどした上で、犯罪の重さや動機、本人や家族の状況、仕事への影響など(これらを情状といいます)を説明し、起訴しないように検察官を説得します。
起訴後は保釈請求ができますので、まずは早期に身柄が解放されるように手続を行います。
起訴後は、無罪を主張するのであれば、無罪判決のために証拠を収集したり、協力してくれる証人を探すなどの弁護活動を行います。犯罪事実を認めている場合でも、上記の起訴前の活動に加え、被告人の反省や被告人の更生可能性、再犯の危険がないことなどを、公判における被告人への質問や情状証人への尋問などで明らかにし、少しでも刑が軽くなるように弁護活動をします。
これらのほかにも、弁護士は、被疑者・被告人と家族との連絡役など、様々な場面で被疑者・被告人の利益のために活動します。