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遺族年金について違憲訴訟を提起しました◆蟹江鬼太郎弁護士・小野山静弁護士・中西翔太郎弁護士・松井真理弁護士

当事務所の蟹江鬼太郎弁護士、小野山静弁護士、中西翔太郎弁護士、松井真理弁護士が担当する労災事件が報道されました。

この事件の弁護団は、松丸正弁護士(堺法律事務所)、成見暁子弁護士(宮崎くすの樹法律事務所)、川人博弁護士(川人法律事務所)と、当事務所の蟹江、小野山、中西、松井各弁護士です。

 

●この訴訟は、労災事故で、

・「夫」が死亡した場合 → 妻は「生計維持関係」があれば遺族補償年金が受け取れる

・「妻」が死亡した場合 → 夫は、「生計維持関係」に加えて、「年齢要件(55歳以上)」か「障害要件(5級以上)」を満たさない限り年金は受け取れない

という労災保険法の規定が男女差別であって違憲である、との主張を行うものです。

2024年4月9日に次いで2件目の提訴となります。

 

年々、共働きで平等に家事育児等を分担する世帯が増えている今日、夫と妻のどちらが死亡したかで遺族が受給できる年金の金額に数千万円単位での差を設ける意義は、既に失われています。

厚生労働省は、本件訴訟提起と同日、同規定について、法改正において男女差を解消する方向での中間報告書案を発表しました。

一刻も早く夫の遺族年金受給の年齢要件を撤廃し、これまで妻を亡くした遺族に対して遡及的に遺族年金の給付をすることが望まれます。

 

●労災保険法の条文(要約抜粋)

労災保険法16条の2

遺族補償年金を受けることができる遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたものとする。
ただし、『妻』以外の者にあっては、労働者の死亡当時、次の各号に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。

一 『夫』については、六十歳以上であること。

二 『夫』については、厚生労働省令で定める障害の状態(5級以上)にあること。

※さらに、労災保険法附則43条により、年齢要件について、『夫』は、妻の死亡時に55歳以上であれば受給資格が得られるが、60歳になるまでは受給停止。

 

 

●毎日新聞
「 労災の遺族補償年金の男女差は『違憲』 岩手の男性が国を提訴へ 」

https://mainichi.jp/articles/20250728/k00/00m/040/096000c

 

●産経新聞
「  男女差『違憲』と提訴 岩手の男性、遺族補償年金の年齢要件巡り 」

https://www.sankei.com/article/20250729-YVSGBW7WHVO3JIQSUHD56V4PAA/

 

●弁護士ドットコムニュース
「 『夫は55歳以上』労災遺族年金のルールは『違憲だ』、妻亡くした男性が提訴 仙台地裁 」

https://www.bengo4.com/c_5/n_19151/

 

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