お知らせ

定年退職後に再雇用された社員の労働条件をめぐる不誠実団交で救済命令 が出されました(日本IBM・キンドリルジャパン事件)◆大熊政一弁護士

日本IBMでは、2013年4月、満60歳で定年となった社員で雇用継続を希望する社員を再雇用して65歳まで雇用を継続する「シニア契約社員」制度を設けました。その賃金は、担当業務を問わず一律17万円で、正社員としての退職前給与の約2割に減額され、当時の最低賃金すれすれの低額でした。

このため組合(JMITU)は、団体交渉で、何故給与額が一律17万円になるのか、資料を提供して具体的に説明するように求めましたが、会社は抽象的な説明を繰り返すのみで、資料も提出せず、不誠実な対応に終始したため、組合は、不誠実団交として東京都労委に不当労働行為救済申立を行なっていました。

都労委は、2024年3月18日、会社の対応を不誠実団交の不当労働行為に当たると明確に認定して救済命令を出しました(ポスト・ノーティスも命じました)。

 

審理の途中で、会社分割により該当部門がキンドリルジャパンに承継されましたが、命令は、キンドリルジャパンは会社分割によって不当労働行為責任をも承継しているとして、キンドリルジャパンに対しても、今後組合から定年後再雇用者の給与等を議題とする団体交渉の申入れがあった場合は誠実に応じなければならないとする命令を出しています。

この点は注目されるところです。

 

当事務所も組合の弁護団として本事件に関与しています。

 

東京都 報道発表

https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2024/03/18/10.html

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