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<建設アスベスト>最高裁で国の責任が認められました

*旬報法律事務所・所報(2021年夏号)担当事件報告*

 

大工や配管工など建設現場で働いておられた方々が、作業中にアスベスト(石綿)の粉じんを吸い込んだことにより、肺がんや中皮腫などの病気にかかって亡くなったり、病気で苦しんだりしています。建設アスベスト訴訟は、これらの被害を受けた建設作業員の方々が、国と建材メーカーを相手に損害の賠償を求めた裁判です。

本年5月17日、最高裁は、国がアスベストを適切に規制しなかったことに責任があると認めました。これを受けて6月9日、一定の期間内にアスベストを吸い込む作業に従事して被害を受けた建設労働者に対し、国が最大1300万円の給付金を支給する法律が成立しました。実際に支給が開始されるのは来年になるとみられています。

国の責任を認めた判決は確定しましたが、アスベストを含む建材を製造販売していたメーカーの責任を追及する裁判は今後も続いていきます。

アスベストは、吸い込んでから何年、何十年もたってから命にかかわる疾患となってあらわれる恐ろしい物質です。その危険性をわかっていた国やメーカーの責任は、きっちり果たされなければなりません。

(弁護士 早田由布子)

旬報法律事務所